アトピー性皮膚炎とは、慢性的（成人で半年以上）に湿疹・皮膚炎を繰り返す病気です。患者様の多くに「アトピー素因（アレルギー性の喘息、鼻炎、皮膚炎の治療歴や家族歴）」を認めます。
原因ははっきりとしていませんが「皮膚バリア機能の低下」「免疫学的な要因」「外的な要因」が組み合わさって、皮膚炎を生じさせると考えられています。
アトピー性皮膚炎は年齢によって、特徴的な症状があります。乳幼児期（2ヶ月～4歳）、小児期（～思春期）、成人期にわけそれぞれの特徴をお示しします。また皮膚症状は、季節によっても変化し、乾燥が強い冬場や、汗の多い夏に悪くなる傾向にあります。

乳幼児期
頭や顔を中心に、薄いかさぶたを伴った、一部がジュクジュクした皮膚炎が生じます。
離乳食の刺激から、口やあごの周りに症状を認めることも多いです。

小児期（～思春期）
体全体が、カサカサと乾燥しやすくなり、容易に皮膚炎をおこします。
耳の下、肘、膝、腋などが切れやすくなるなど、特に症状を認めます。

成人期
上半身を中心にした広い範囲に、赤黒く、ガサガサした皮膚炎が広がります。
顔面の全体が赤くなったり、首元が黒ずんだりといった症状が出る場合もあります。

アトピー性皮膚炎もしくは、慢性的な湿疹、敏感肌の症状の方など（すぐに赤くなる。かゆみやボロボロが出てくる）がレーザー治療を受けることで治療後から、かゆみが出にくくなる。ステロイドの塗布回数が減るといった効果が認められます。また、連続してレーザー治療を行うことで、アトピー性皮膚炎自体の改善効果が発現してきます。これは、レーザーによる皮膚局所の免疫改善効果が期待できるからです。
アトピー性皮膚炎のレーザー治療に関しては、痛みを気にする方もいらっしゃいますが、レーザー照射時に輪ゴムではじかれる程度の痛みです。もし、痛みが苦手な方がいらっしゃったら、冷却や麻酔テープでの対応も可能です。

最近、アトピー性皮膚炎には様々な治療法が登場し、特にIL-4/IL-13受容体抗体の皮下注射（デュピクセント®）などが高い治療効果を得ています。
これは、2週間ごとに皮下に薬剤を注射して治療します。高い治療効果の一報で、この治療は皮膚科医の診察による投与基準が定められており適応が重症例に限られているほか、1か月に約50,000円（3割負担の方）と治療費も高額です。
また経験的に、顔面の赤みに対しては効果が弱い印象もあります。
アトピー性皮膚炎患者をレーザーで治療する試みこれまであまり報告されていません。
前述した、脱毛レーザーによって患者様の皮膚症状が改善することも、以前からレーザー治療に携わる医療者は経験的に認識していましたが、この方法の報告も非常に少なく、いままでに1報告しかありません。
当院でアトピー性皮膚炎に使用するレーザーは、にきびや乾癬といった炎症性の皮膚疾患にも高い治療効果を持っています。
このうち乾癬という病気では、アトピー性皮膚炎と同様に紫外線療法もよく行われていますが、特にロングパルスダイレーザーは紫外線療法と比べても著明に乾癬の局所症状を改善させたとする報告があります。※参考文献【1】
さらには全身性エリテマトーデスという全身の免疫疾患の顔面の皮膚症状を改善させたとする報告もあります。※参考文献【2】
もともと、レーザーは、顔面のくすみ改善（レーザーフェイシャル）として使用されることもあり、顔面の照射に関しても比較的安全に実施可能です。
当院では、以下の患者様に対して、レーザーを用いたアトピー性皮膚炎治療を検討しています。

※参考文献
【1】 Taibjee et al：Brit Journal do Dermatology :153 : 960 : 2005
【2】 根元治 : 皮膚科クリニックで行う実践レーザー治療：J Visual Derm13：1316：2014